入国
海外の家族・友人を日本に招く時に伝えること:薬と入国の基本
まず知っておきたいこと: 来日する家族や友人が持病の薬を持ってくる場合、いちばん大切なのは「薬の名前」ではなく「有効成分」と「旅行全体での量」です。通常の処方薬なら、自分で使う1か月分までは手続きなしで持ち込めます。これを超える量には事前の「輸入確認証」が、コデインなどの麻薬やリスデキサンフェタミン(Vyvanse/Elvanse)などの覚醒剤原料には量にかかわらず事前の許可が必要です。アデロール(Adderall)などのアンフェタミン製剤は、処方箋があっても持ち込めません。入国そのものは、英国・フランス・ドイツなどビザ免除の国の人なら観光で最長90日まで、ビザなしで滞在できます。
次にすること: 招く相手に、持ってくる薬の「有効成分・1錠あたりの量・合計の錠数」を書き出してもらい、下の早見表で当てはまる行を一緒に確認してください。許可が必要な薬があれば、来日の14日前までに申請が必要です。
2026年10月8日に厚生労働省、税関、外務省、出入国在留管理庁などの公式情報と照合して確認しました。このページは手続きの案内であり、医療上・法律上の助言ではありません。個々の薬の扱いは、処方した医師と日本の担当窓口が判断します。
なぜ招く側が知っておくとよいのか
海外の家族は、自国の大使館のページや英語の情報を見て準備します。ところが、日本の手続きは「輸入確認証(地方厚生局)」「麻薬・覚醒剤原料の許可(麻薬取締部)」「向精神薬の書類」の3つに分かれていて、窓口も別々です。大使館のページでも区別せずにまとめていることがあります。問い合わせの窓口は日本語のページのほうが詳しいことも多いため、日本に住む人が一緒に確認すると、出発直前に慌てずに済みます。
薬の早見表:招く相手に確認してもらうこと
本人が使う分に限ります。「何か月分」とは、処方された用量で使う量のことです。
流れをたどる前に、有効成分と区分を確かめてください。どちらかがはっきりしない時は、下の全文の決まりを読み、担当の日本の窓口に確認してください。
アンフェタミン(例: Adderall)、デキサンフェタミン、レボアンフェタミン、メタンフェタミン、メタカロン、ヘロイン、あへん末。
関東信越厚生局麻薬取締部のページは、メサドン(鎮痛薬として使う場合を除く)も挙げています。
はい
いいえ
次の区分を確認します。
例: コデイン、モルヒネ、リスデキサンフェタミン、セレギリン。
はい
量にかかわらず必要です。渡航の14日前までに申請してください。
直前や緊急の連絡をしても、申請が処理されるとは限りません。
いいえ
次の区分を確認します。
コデインやプソイドエフェドリンは、麻薬取締部から別の回答がない限り、許可が要るものとして扱ってください。
例: ジアゼパム、ゾルピデム、メチルフェニデート。
はい — 二つの条件をそれぞれ別に確認します。
はい
書類の内容と、処方箋の写しで代える方法は、下の節を見てください。
いいえ
続けて、量についての別の確認に進みます。
はい
これは、証明書の確認とは別に当てはまります。
いいえ
この確認では、輸入確認証は要りません。
はい
注射剤でなく、公式の数量表の量以内で、かつ一か月分までの場合に限ります。
いいえ
いいえ
個人で使う分の上限以内?
- 処方薬: 1か月分まで。
- 市販薬または医薬部外品: 2か月分まで。
- 外用の市販薬: 一品目につき標準サイズで24個まで。
- プレフィルドシリンジ(薬液充填済みの注射器)または自己注射キットに入った自己注射薬: 1か月分まで。
自己注射の上限は厚生労働省の英語の案内によるものです。同省の日本語のページには、注射剤だけを分けた項目はありません。
はい
上の特別な決まりが、ここでも優先されます。
いいえ
任意の事前確認を利用できます。詳しくは CBD の節を見てください。
この図は下の表をまとめたものです。決まりの全文は、表とそのあとの各節にあります。
| 持ってくるもの | 必要な手続き | いつまでに |
|---|---|---|
| 処方薬で1か月分以内(麻薬・向精神薬・覚醒剤原料に当たらないもの) | 不要。処方箋の写しか医師の手紙を持参するとよい | — |
| 市販薬・医薬部外品で2か月分以内 | 不要 | — |
| 外用の市販薬(塗り薬・目薬など)で1品目24個以内 | 不要 | — |
| 1か月分を超える処方薬 | 輸入確認証(オンライン申請) | 書類がそろってから通常は数営業日。当サイトの目安では出発の約3週間前に申請 |
| インスリンなどの自己注射薬(1か月分以内) | 不要 | — |
| 注射器・注射針だけを持ってくる(1本でも) | 医療機器としての輸入確認証 | 同上 |
| 麻薬(コデイン、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、タペンタドールなど) | 麻薬取締部の事前の許可。量は問わない | 来日の14日前まで |
| 覚醒剤原料(リスデキサンフェタミン、セレギリンなど) | 麻薬取締部の事前の許可 | 来日の14日前まで |
| 向精神薬(ジアゼパム、ゾルピデム、メチルフェニデートなど)で、錠剤などかつ数量表の範囲内、かつ1か月分以内 | 不要 | — |
| 数量表を超える向精神薬、注射剤の向精神薬 | 医師の証明書を携帯。注射剤や1か月分を超える場合は輸入確認証も | 来日前に用意 |
| アンフェタミン、デキサンフェタミン、メタンフェタミン(アデロールなど)、ヘロイン、あへん末 | 持ち込めない | — |
| CBD製品 | 日本のTHC基準値以内であること。任意の事前確認あり | 余裕をもって |
「〜か月分」は、処方された用量で使う量のことで、錠剤の数ではありません。
具体例:向精神薬の量を計算する
関東信越厚生局麻薬取締部は、注射剤以外の向精神薬の、成分ごとの総量基準を公表しています(表の更新日:2025年2月28日)。主な例です。
| 成分 | 成分総量の基準 |
|---|---|
| ジアゼパム | 1.2 g |
| アルプラゾラム | 72 mg |
| ロラゼパム | 90 mg |
| ゾルピデム | 300 mg |
| クロナゼパム | 180 mg |
| テマゼパム | 900 mg |
| メチルフェニデート | 2.16 g |
計算のしかた: 合計量 = 1錠あたりの含有量 × 錠数。
- 母がゾルピデム10 mgを30錠持ってくる → 10 × 30 = 300 mg。成分総量は数量表の上限以内です。輸入確認証の要否は別に、処方された用法・用量で1か月分以内かを確認します。
- 2週間の滞在でも、予備を含めて40錠持ってくる → 400 mg。上限を超えるため、氏名、病名、必要な理由、医薬品名・用量・規格と数量、医師の署名、発行日が入った医師の証明書を携帯してもらいます(氏名・住所・医薬品・数量がわかる処方箋の写しでもよいとされています)。
- メチルフェニデートを1日72 mg、30日分 → 2.16 g で上限ちょうどです。
ADHD治療薬は成分で扱いが分かれる
同じ診断でも、成分によって手続きがまったく違います。
- アンフェタミン・デキサンフェタミン(アデロールなど):持ち込めません。
- リスデキサンフェタミン(Vyvanse、Elvanse、Venvanse、Aduvanz、Tyvense):覚醒剤原料。14日前までに事前の許可が必要です。
- メチルフェニデート(リタリン、コンサータ、Medikinet など)とデクスメチルフェニデート:向精神薬。上の数量表に従います。
- アトモキセチン(ストラテラなど):規制医薬品ではありません。自分の治療のために1か月分以内なら手続きは不要です。
アデロールを服用している人は、来日前に処方医と滞在中の対応を相談する必要があります。早めに伝えてあげてください。
許可や確認証が必要な時の手順
輸入確認証: 厚生労働省のオンラインシステム(2023年2月1日から運用)で申請します。処方箋または医師の指示書(患者名、医薬品名、医師名が入り、すべての品目を含むもの)と、到着日・到着場所・便名・本人の氏名がわかる航空券の書類が必要です。確認証は電子ファイルで届きます。空港で求められたら提示するため、印刷したものも持ってきてもらいましょう。確認証を書き換えると無効になります。
麻薬・覚醒剤原料の許可: 到着空港を管轄する麻薬取締部の事務所に、申請書、医師の証明書(具体的な医学的理由が必要。「旅行のため」などは不可、発行から3か月以内)、包装の写真などを、メール・FAX・郵送で来日の14日前までに送ります。祝日の前後は締め切りが早まります(ゴールデンウィークの例では、4月29日〜5月11日の到着は4月22日まで)。薬は本人が携帯する必要があり、家族が代わりに持っていくことも、あとから郵送することもできません。
問い合わせ先(到着空港で決まる):
- 関東信越(成田・羽田など):yakkan@mhlw.go.jp
- 近畿(関西・中部・福岡・那覇など):kiyakuji@mhlw.go.jp
問い合わせには、到着空港、製品名、各有効成分とその量(例:1錠20 mg)、形状、数量を書きます。日本語で問い合わせられる人が手伝うと確実です。
市販のかぜ薬に注意: コデインやプソイドエフェドリンを含む海外の市販薬は、含有量の基準について公式情報の書き方が一致していません。麻薬取締部から書面の回答を得るまでは、許可が必要なものとして扱い、事前にメールで問い合わせるのが安全です。
あなた自身が海外で買った薬を持ち帰る場合
厚生労働省の数量の上限(処方薬1か月分、市販薬2か月分、外用薬1品目24個など)は、個人で使うために海外から持ち込む医薬品に適用されます。海外旅行の帰りに現地の薬局で買ったかぜ薬や鎮痛薬も、上の「市販のかぜ薬に注意」と同じ考え方で確認してください。サプリメントについても、厚生労働省は、量にかかわらず確認が必要になる25の成分(ピラセタムなどのいわゆるスマートドラッグ、DHEA、プレグネノロン、チアネプチンなど)の一覧を公表しています。
入国について伝えること
| 確認すること | 内容(2026年10月8日時点) |
|---|---|
| ビザ | 英国・フランス・ドイツなど外務省がビザ免除の対象とする国・地域の人は、観光や親族訪問の短期滞在でビザ不要。最長90日 |
| 90日を超える滞在 | 英国・ドイツの人は、日本国内の出入国在留管理局で期間内に申請すれば、通算最長6か月まで延長できる場合がある(審査あり)。フランスにはこの取り決めがない |
| パスポートの残存期間 | 英・仏・独については「6か月残存」を求める公式情報はない。滞在期間中(フランスは帰国日まで)有効であればよい。航空会社の条件は別途確認 |
| 帰りの航空券 | 帰りの便や次の目的地への便がないと搭乗を断る航空会社がある。予約をオフラインで保存しておく |
| 入国審査 | 16歳以上の外国人は指紋と顔写真を提供する。滞在先を聞かれることがあるので、あなたの住所を英語で書いて渡しておく |
| JESTA(電子渡航認証) | 2026年10月8日時点で申請できる制度はまだない。導入目標は2028年度中。「事前登録」で料金を取るサイトは政府のものではない |
| 出国税(国際観光旅客税) | 2026年7月1日から出国1回¥3,000(以前は¥1,000)。通常は航空券に含まれる。2026年6月30日以前に購入(発券)した航空券は原則¥1,000(発券後に便を変更すると¥3,000になる場合あり)。日本に住むあなたが海外に行く時も同じ |
| 報酬を得る仕事 | ビザ免除の短期滞在では不可。手伝い程度でも報酬があれば対象 |
ビザ免除の対象でない国・地域の人は、来日前にビザが必要です。外務省のビザ免除国・地域の一覧で確認してください。
税関申告は Visit Japan Web でできます。無料で、利用は任意です。詳しくは Visit Japan Web は無料? と 日本入国チェックリスト を、招く相手にそのまま送ってください(英語版もあります)。
招く相手に送るメッセージの例(英語)
状況別:何をするか
| 状況 | すること |
|---|---|
| 相手の薬が早見表の「不要」に当てはまる | 処方箋の写しか英文の医師の手紙と一緒に、元の包装のまま機内持ち込みにしてもらう |
| 1か月分を超える | 出発の約3週間前までに輸入確認証をオンライン申請してもらう |
| コデイン、リスデキサンフェタミンなどが含まれる | 来日の14日前までに麻薬取締部へ申請。日本語で問い合わせを手伝う |
| アデロールを服用している | 持ち込めないことを早めに伝え、処方医への相談を勧める |
| 足りなくなったら送ってもらおうと考えている | 規制医薬品は郵送できない。到着時点で滞在全体の分を持ってきてもらう |
| 滞在が90日を超えそう | 国籍ごとに延長の可否が違う。英・独は国内で申請、仏は渡航前にビザ |
よくある質問
家族の薬を、私が日本で受け取って渡してもいいですか?
麻薬と覚醒剤原料はできません。本人が携帯して入国する必要があります。通常の医薬品も、書類は患者本人の名義である必要があります。別の方法を考える場合は、事前に地方厚生局に問い合わせてください。
輸入確認証や許可に手数料はかかりますか?
2026年10月8日に確認した公式ページには、手数料がかかるとも無料とも書かれていません。麻薬取締部の手引きには、郵送で返送される許可証の郵送料は申請者負担とあります。
日本で薬が足りなくなったら?
日本の医療機関を受診することになります。緊急時の番号と旅行者向けの窓口は 日本の緊急連絡先 にまとめています。来日する人の医療費の補償は 日本旅行に海外旅行保険は必要? を参考にしてください。
CBDオイルを持ってきたいと言われました。
2024年12月12日から、日本は大麻由来製品のΔ9-THCに基準値(油脂・粉末10 ppm、水溶液0.1 ppm、その他1 ppm)を設けています。「THCフリー」の表示だけでは判断できません。CBNは2026年6月1日から指定薬物で、輸入も所持もできません。含有量を書類で示せない製品は、持ってこないよう伝えるのが安全です。
出国税は日本人にもかかりますか?
かかります。国籍にかかわらず、飛行機や船で日本を出国する人が対象で、2026年7月1日から¥3,000です(2歳未満などは非課税)。通常は航空券の代金に含まれています。
確認した内容と出典
- 厚生労働省、個人使用目的の医薬品の輸入(日本語) ↗
- 厚生労働省、個人使用目的の医薬品の輸入(英語) ↗
- 厚生労働省、医薬品の輸入に関するQ&A ↗
- 厚生労働省、輸入確認申請(オンラインシステム) ↗
- 厚生労働省、数量にかかわらず確認が必要な成分 ↗
- 厚生労働省 麻薬取締部、申請の案内 ↗
- 厚生労働省 麻薬取締部、覚醒剤原料の手引き(日本語) ↗
- 関東信越厚生局 麻薬取締部、規制医薬品の携帯と向精神薬の数量表(2025年2月28日更新) ↗
- 関東信越厚生局 麻薬取締部、規制医薬品の携帯と向精神薬の数量表(2025年2月28日更新) ↗
- 中国四国厚生局、医薬品の持ち込みに関するQ&A ↗
- 厚生労働省、大麻取締法等の改正(THC基準値) ↗
- 麻薬取締部、CBD製品の輸入 ↗
- 税関、輸入してはならないもの ↗
- 外務省、ビザ免除国・地域(短期滞在) ↗
- 外務省、ビザ免除国・地域(短期滞在)(英語) ↗
- 在英国日本国大使館、短期滞在 ↗
- 出入国在留管理庁、2026年の入管法改正(JESTA) ↗
- 出入国在留管理庁、目標時期 ↗
- 観光庁、国際観光旅客税 ↗
- 国税庁、国際観光旅客税 ↗
- 英国 FCDO、Japan entry requirements ↗
- France Diplomatie ↗
- Auswärtiges Amt ↗